僕はただ静かにDQMSLをしたいだけなんだ。②
僕はひたすら草原を道なりに歩いていた。頬を撫でる風が爽やかで気持ちが良い、緑のいい匂いがする。
そして僕の周りに3匹のモンスターがいる。未だに信じらんない。最近始めたばかりのアプリの世界に入り込んで、わたぼうに無理矢理お願い事をされて、有無を言わさず旅に出ているなんて。
ほんと、もう、なんて言うか、めっちゃ色々と思考が追いつかない、考えれば考えるほど混乱する、あー!もう!僕が頭を抱えて髪を掻きむしっているど、心配そうに3匹が僕を取り囲んでいた。
「マスター、この先に洞窟があるよ!」
フワフワと浮いて見た目が可愛いゴースト。
「今日は暑いですね、適度に休憩をとりましょう」
しっかり者のナイトウイプス、可愛い。
「危険が無いようにオレが守るからな」
ホネだけだけど武器持ってるがいこつは可愛い。
ハッ、やべやべ、思わず顔を下げ、緩む口元を慌てて両手で押さえていた。僕はそんなこと誰にも話した事が無いんだけど、ドラクエの中で昔からアンデッド系のモンスターが大好きだ。何でって、そりゃあ見た目も中身もカッコイイからだ。言えない、人にそんな事は絶対に言えない。そんな事を口にしたら女の子にドン引きされるのは目に見えているから、マジで言わないけどさ。
モンスターズやっている時からゾンビ系統一択だったから、今一緒にいるこいつらの性能はバッチリ頭に入ってるぜ。性能ね。性能。
「って、回復系いなくね!?」
よくよく考えたら、がいこつは物理アタッカー、ゴーストは魔法アタッカー、ナイトウイプスは補助系。
どうすんだよ、このパーティ。
世界を旅をするとして、下手に凶暴なモンスターに襲われて僕が怪我でもしたら、回復出来ないとなると、かなりやべーやつなんじゃ...
「マスターが心配してる」
「大丈夫ですよ、実は私達は」
「全員レベル99のSSランクだからな」
「は?」
ん、んん?そういや長らく草原歩いているけれど、モンスターの人っ子一人現れない。
てかさ、がいこつの持ってる剣っていやに禍々しく輝いている魔剣ぽいし。ゴーストが掌で遊んでいる火の玉って恐ろしく熱いし。ナイトウイプスに関しては瞳を見つめるだけクラクラする怪しい光を放っているし。なんなのこいつら。
「マスター、私達がご一緒していれば、そんじょそこらのモンスターは現れもしませんから、どうかご安心をしてください」
「万が一に1ミリでも近付けば大魔法で一掃するし」
「オレの魔剣、相手が弱すぎて使っていなさすぎて、錆びそ」
...、
こいつらめっちゃチートかよ!
旅は始まったばかりだけれど、一先ず安心は出来た。暫くはひたすら歩き続ける事になりそうな予感がする。今はそれでいい。先ずはこいつらとゆっくり話をして、沢山お互いの事を話して、これからどうしたらいいのか一緒に考えればいい。何も無かった日常が刺激的に変化していく。今を楽しく生きている。
僕はただ静かにDQMSLをしたいだけなんだ。
「マスターってさ、気付いていないのかな」
「ご自身の力の強大さを知らないのでしょう」
「俺達がレベル高いのも、召喚されたのも、マスターの力のせいなのにな」
続く